公開後のホームページ運用
WordPressはやめるべき? 乗り換えを決める前に確かめること
「WordPressはもう終わった」「これからはほかの仕組みの時代」。最近、そんな話を目にすることが増えました。2026年には、WordPressの後継をうたう新しいCMSの正式版も公開されました。今のサイトはこのままでよいのか、不安になった方もいるかもしれません。先に結論をお伝えすると、話題になっているからという理由だけで、乗り換えを急ぐ必要はありません。大切なのは、今のサイトの困りごとが、本当にWordPressから来ているのかを確かめることです。
HOW TO DECIDE
ここから、WordPressの今と、乗り換えを判断する目安を順に見ていきます。01
「WordPressは終わった」と言われる理由
WordPressは、2003年に公開されてから20年以上、個人のブログから企業のサイトまで、あらゆるサイトづくりを支えてきたCMS(コンテンツ管理システム)です。W3Techs(外部サイト)の調査では、2026年10月の時点で、世界のWebサイトの39.7%、CMSを使っているサイトに限れば58.5%がWordPressで作られています。9月1日からの1か月半ほどで1ポイント下がり、4割を切りました。今も最も多く使われているCMSですが、その割合が下がっているのも事実です。
「終わった」と言われる背景には、大きく2つのことがあります。
選択肢が増えた
サイトの作り方には、WordPress以外の選択肢が増えています。
- 静的サイトの仕組み:更新の少ないサイトを、軽く速く作れる
- ヘッドレスCMS:管理画面と表示の部分を分けて作れる
- ネットショップや予約に特化したサービス:その用途に必要な機能が、はじめからそろっている
- EmDash:Cloudflareが、WordPressの「精神的な後継」をうたうオープンソースのCMS。2026年4月にプレビューとして公開し、9月に正式版の1.0を出した。プラグインを隔離して動かし、安全性の弱点を仕組みで減らす考え方
同じ調査で、9月1日以降に使うサイトが最も増えた仕組みは、静的サイトを作るAstroで、ネットショップのShopifyが続きます。
セキュリティの問題
使われている数が多い仕組みほど、攻撃する側にとっても狙う価値が高くなります。WordPressのサイトが攻撃されたという知らせをよく目にするのは、そのためでもあります。
02
危ないのは、本体よりもプラグインと、更新されないサイトです
では、WordPressそのものが危ないのでしょうか。本体と、プラグインやテーマに分けて見てみます。
WordPress本体の問題?
WordPress本体は、世界中の開発者が支えるオープンソースのソフトウェアです。脆弱性(セキュリティ上の弱点)が見つかると、すぐに修正版が公開されます。セキュリティの修正を含む小さな更新は、標準の設定のままなら自動で適用されます。
プラグインやテーマの問題?
一方、報告される脆弱性の大半は、本体ではなく、機能を足すためのプラグインやテーマから見つかっています。プラグインは作り手がさまざまで、すぐに直されるものもあれば、更新が止まったままのものもあります。
つまり、気をつけたいのは「WordPressかどうか」よりも、使っているプラグインが今も手入れされているか、そして本体やプラグインの更新を誰かが見守っているかです。更新されないまま何年も置かれたサイトは、どの仕組みで作られていても危うくなります。
03
WordPressのままでよいサイト、乗り換えを考えてよいサイト
乗り換えるかどうかは、仕組みの評判ではなく、今のサイトの使われ方で決まります。目安を左右に並べました。
WordPressのままでよいサイト
- 本体とプラグインの更新を見守る体制がある
- お知らせや実績などを、自分たちで日々更新している
- 更新する人が、今の管理画面に慣れている
- プラグインやカスタム投稿タイプなどで無理なく運用できている
乗り換えを考えてよいサイト
- 更新がほとんどなく、管理画面を誰も使っていない
- プラグインが増えすぎて、何のためのものか分からない
- 表示の遅さや不具合が、手を入れても繰り返し起きる
- 必要な機能が、WordPressの外にある別のサービスや仕組みに移っている
右側に当てはまっても、すぐに作り直す必要があるとは限りません。プラグインの整理や、保守の見直しで解決することもあります。
04
乗り換えにかかる手間も先に理解しておきます
仕組みを変えると、サイトの見た目だけでなく、更新の方法、ページのURL、保守のやり方まで変わります。乗り換えた後に「前のほうがよかった」とならないよう、かかる手間を先に理解しておきます。
- ページのURLが変わる場合は、古いURLから新しいURLへの転送を設定する。検索から人が来ている大切なページほど、注意が要る
- 記事や画像を、新しい仕組みに移す手間と費用
- 更新する人が、新しい方法を覚える時間
- 新しい仕組みにも、更新と保守は必要になる。それを誰が担うか
登場したばかりの仕組みは、まだ使われている例が少なく、困ったときに調べられる情報や、頼める人も限られます。事業のサイトで使うなら、実績や周りの環境がそろってくるのを見てからでも、遅くはありません。
05
流れに乗りすぎず、選択肢を持っておく
世の中が本当にWordPressから離れていくなら、ある程度はその流れに合わせる必要があります。けれど、話題になっているからといってすぐに乗り換えると、移す手間や費用に比べて、得られるものが少ないこともあります。
大切なのは、WordPressを使い続けるかどうかを一度で決めてしまうことではなく、ほかにどんな選択肢があるかを知り、今のサイトに合うものを選べるようにしておくことです。WordPress、既存サービス、個別開発のどれを選ぶかの考え方は、「WordPress、既存サービス、個別開発。どこで分けて考えるか」でもご紹介しています。